マレーシアを消費市場としてとらえる起業、中東・イスラム経済圏へのゲートウェイ、ASEAN地域のハブとして企業のマレーシアへの進出が増えています。
日本は、マレーシアと投資面での結び付きも強く、親日国のマレーシアは、気候、食事などの点からも日本人が住みやすい国と言われ、マレーシア政府が推奨するMM2Hビザの後押しもあり、日本人の移住希望先ランキングも長年1位をキープしています。
5年後に向けて、成長し続けるマレーシアへの投資を検討されている方もいらっしゃると思います。そんなマレーシアでこれからビジネスをしようとしている人、又はアジア展開に興味はあるけど、どこにしようかな〜なんて考えている方へ向けて、今回は、マレーシアの外資に関する規定についてご紹介したいと思います。
規制業種・禁止業種
マレーシア政府は、国家権益に関わる事業(水、エネルギー・電力供給、防衛、放送、保安など)に関して外資参入を30%までに制限されています。さすがに「マレーシアでこれから会社を作ろう!」としいる方で上記の市場で「1から水道事業を立ち上げよう!」などという方は少ないと思いますがご参考までに・・・
事業別出資比率
1975年工業調整法により、民間企業に対する外国資本出資比率は、所轄官庁のライセンス、許認可に課された出資条件によります。
製造業、流通・サービス業(一部を除き)は、100%外資が認められています。
製造業に関して、工業調整法による製造ライセンスは、Malaysia Investment Development Authority:MIDA(マレーシア投資開発庁)に申請し、Ministry of International Trade and Industry:MITI(国際貿易産業)により発行されます。
ほとんどの業種で100%外資が認められています。
緩和政策実施前に製造業ライセンスを取得した製造業者は、進出時に課された出資比率と輸出率の諸条件は引き続き有効とされているが、MITIは、このような既存の条件についたケースに応じて外国資本比率の引き上げなども認めている。
また一部の事業を除き、事業拡張と多角化に向けた投資、すなわち追加増資分については100%の外国資本保有が認められる。運輸・教育・石油関連製品の販売など各関係法令に基づくライセンスが必要な業種は、所轄官庁の資本条件によります。
金融について
金融については、Financial Services Act2013(金融サービス法2013年)が施行され、
外資規制は撤廃されました。外資、内資に関わらず、5%以上の株式所得に際して、バンクネガラ(マレーシア中央銀行)の事前承認が必要とされます。つまり、外資規制は無くなったが、設立・資本参加についてはバンクネガラの判断に委ねられている。
Ministry of Domestic Trade, Co-operatives & Consumerism:MDTCC(国内取引・協同組合・消費者省)は、2010年5月、政府の資本規制緩和策を反映した『MDTCCガイドライン』(Guidelines on Foreign Participation in the Distributive Trade Services Malaysia)流通取引・サービスへの外国資本参入に関するガイドラインを発行。
ガイドラインが適用される非製造業の範囲は広く、販社・サービス業が広くカバーされているが、ハイパーマーケット、スーパーストアを除いて、最低ブミプトラ資本30%の条件は課されなくなりました。
という事は、100%外資可能に。
※外資参入禁止業種が下記になります。
・スーパーマーケット/ミニマーケット(販売フロア面積が3,000平方メートル未満)
・食料品店/一般販売店
・コンビニエンスストア
・新聞販売店、雑貨品の販売店
・ガソリンスタンド
・常設の市場(ウェットマーケット)や歩道店舗
・薬局(伝統的なハーブや漢方薬を取り扱う薬局)
・国家戦略的利益に関与する事業
・布地屋、レストラン(高級店でない)、ビストロ、宝石店など
同ガイドラインは、下記ウェブページを参照に。
https://www.kpdnkk.gov.my/kpdnkkv3/images/KPDNKK/PDF/Borang/WRT_Guideline.pdf
ステータス取得した会社は100%外資が承認
①Multimedia Super Corridor:MSC(マルチメディア・スーパー・コリドーステータス)会社
MSCステータスについてはコチラを参照↓
【MSCステータス】外資IT企業向け特別優遇制度について
②Iskandar Regional Development Authority:IRDA (イスカンダル地域開発庁)によりステータスを承認された会社、当該開発地域内で事業を行う会社
③政府により定められた開発地域において、管轄する州当局によりステータスを承認された会社で、当該開発地域内で事業を行う会社
④Malaysian International Islamic Financial Centre:MIFC(マレーシア国際イスラム金融センター)の事務局から承認を得た会社
⑤ MITIやMOF(Ministry of Finance:財務省)、その他の省により、International Procurement Centre:IPC(国際調達センター)、Operational Head Quarters:OHQ(経営統括本部)等のステータスを承認された会社
マレーシア政府は、経済成長のけん引役としてサービス産業の活性化、成長を重要視しています。外資の誘致にも貢献するとして、段階的にサービス産業のサブセクターが自由化されています。
2012年から自由化すると発表されたセクターは、具体的に民間病院、医療・歯科専門サービス、建築、会計・財務サービス、法務サービス、クーリエサービス、エンジニアリング、教育・訓練、通信サービスなどが対象、サービス分野18業種。
2014年11月にマレーシア政府はASEAN枠組み協定の一環で、2015年中にサービス産業のヘルスケア、観光、通信事業などを含む28のサブセクターを新たに自由化の対象にすると発表。
外国企業の土地所有について
マレーシアの土地は、州の管轄となっており、土地・不動産の所有に関して州当局の認可を得て、土地の登記を行います。
住宅に関して、外国人個人の登記も認められていますが、商業物件、工業用地、農業用地は現地法人を設立し、登記しなければなりません。
※不動産取得に関しては、EPU:Economic Planning Unit(経済企画庁)より、ガイドラインが発行されています。
ガイドラインの概要
1. EPUの承認が必要かつ取得条件を満たさなければならない不動産取得
①価値が2,000万RM以上の不動産を直接取得する場合、その結果ブミプトラ関係者(ブミプトラ個人、ブミプトラが支配する現地会社)および/または政府機関が保有する不動産の所有権が希釈化する場合。
②資産総額の50%超の不動産を所有する会社の非ブミプトラ関係者による株式の取得を通じた不動産の間接的な取得で、その結果、ブミプトラ関係者および/または政府機関の所有する会社の支配が変化することになり、かつ不動産の価値が2,000万RMを超える場合。
取得条件
・最低30%のブミ資本
・最低払込資本金
マレーシア人が50%超所有する現地会社の場合、10万RM
外国人、外国の会社が50%超所有する現地会社の場合、25万RM
2. 最低取得額
2014年3月1日より、外国関係者による不動産取引については、最低取得額が50万RMから100万RMに引き上げられた。
外国人または外資50%超の現地法人による100万RM以上の不動産取得については、EPUへの申請は不要だが、州政府、他の所轄官庁の認可は必要としている。
農業用地の取得は100万RM以上か5エーカー以上の面積の物件で、商業規模での農業、アグロツーリズムプロジェクト、輸出用の農業・アグロベースの工業活動などの目的での使用に限られている。
外資50%超の現地法人が従業員寮の物件を取得する際の最低取得額は、一戸当たり10万RMである。
その他
MM2Hでの滞在者の住居は、当該ガイドラインの規定から免除されている。
土地取得にかかる申請先・ガイドライン制定
首相府経済企画庁
EconomicPlanning Unit
URL:https://www.epu.gov.my
資本金に関する規制
最低払込資本金
事業内容や必要な許認可に応じて、最低払込資本金が定められています。
製造ライセンス取得会社では、株主資本250万RM、流通・サービス取引では100万RMである。
製造業部門
高漁猟製法では、250万RM以上の株主資本を有する、または75人以上の常勤従業員を雇用している製造業に製造業ライセンスの取得を義務付けている。
従って、新規に製造会社を立ち上げた場合、払込資本金が250万RM以上であれば、製造ライセンスの取得が必要になります。
既存の製造会社でも、払込資本金、及び剰余金を併せて250万RM以上となれば同様に製造ライセンスが必要になります。
マレーシアでビジネスをしようとしている人必読な外資に関する規定のいろいろ
株主資本金が250万RMに満たない、また常勤従業員75人未満の製造会社は。「製造ライセンス免除の確認書」をMIDAに申請、取得する。
非製造業部門
MDTCCガイドラインによると最低払込資本金は100万RM。
特別ステータス会社
MIDAに認可を受けたIPC/RDCステータス、OHQステータス会社の最低払込資本金の要件は50万RM
入国管理局による最低資本金の要件
・100%ローカル資本(マレーシア)= 25万RM
・ローカルと外資の合弁= 35万RM
・100%外国資本= 50万RM
・外資参入の流通・サービス取引を行う会社およびレストラン= 100万RM
・外資との合弁会社でManaging Director等の重要ポストを占める外国人の雇用パスを申請する場合 外資保有分につき= 50万RM
入国管理局に雇用パスなどの認可を申請する会社の最低資本は、上記のとおりになります。
その他に規制
競争法2010年(Competition Act 2010)
2010年6月に公布され、2012年1月1日施行された競争法。
カルテル等の反競争的協定、支配的地位の濫用が禁止されています。
同法の内容は次のサイトで参照できます。
https://mycc.gov.my/wp-content/uploads/2014/05/CA2010.pdf
2011年4月、Malaysian Competition Commission: MyCC(マレーシア競争委員会)が設置。
同委員会は、競争法の取締り、競争法に関するあらゆる事項に関し、政府、事業者、消費者へのアドバイスを行います。
Malaysia Competition Commission(MyCC)
E-mail:enquiries@mycc.gov.my
URL:https://www.mycc.gov.my/