マレーシアのラブアン島と言えば金融よりもダイビングが有名で、沖合の沈没船に集まるバラクーダの魚群には圧巻ですが、新しい東南アジアのオフショアセンターとして世界の投資家達の人気をあつめています。
2014年までの間にラブアンに登記されたオフショア企業は7,423 社、実はラブアンは知られざるオフショア金融センターでもあるのです。
今回は、「そもそもオフショアって何?」という方へ向けて、「タックスヘイブン・オフショア」とは何なのかをまとめてみたいと思います。
Tax Haven Offshore(タックスヘイブン・オフショア)
Tax Haven(タックスヘイブン)は、日本語ににすると「租税回避地」。
所得税・法人税・資産課税・相続税などが極めて低いか、金融の世界で歴史的・環境的事情により非居住者・外国人に対して租税環境を優遇している国や地域のことをいいます。
Offshore(オフショア)は「向こう岸」のこと。
Onshore(此岸)を「国内」、オフショアを(彼岸)を「海外」の意味で 使うようになったのです。
“オフショア”も”タックスヘイブン”と同義語で用いられます。
タックスヘイブン=税金天国ではありませんので注意。
「税制優遇国」・租税回避国」と呼ばれる法律や税制が他国よりも緩やかな金融特別区です。
オフショアの代表的な国としては、香港、シンガポール、マカオ、モナコがあげられます。
その他にも日本よりも税金が安い国が世界にはたくさんあります。
これらの国の銀行や証券会社、FX会社などの海外口座を利用すれば、税制上のメリットを受けられる可能性があり、中でもオフショアバンクでは、税制上の優遇、金融商品の豊富さなどメリットが多いのです。
オフショアバンクに置いた資産や、投資活動には税金がかからない、または低税率だったりするために、巨額の資産を持つファンドや投資家、世界的な金融機関の支店などがタックスヘイブンの場所を利用しているのが現状なのです。
タックスヘイブンの種類とは
タックスヘイブンは4つの種類で分類ができ、免税の方法が異なります。
条約を結んだ国、海運業に対しての減税措置を認めることにより、国際競争力を高める狙いが
あるのです。
分類 | 税法 |
---|---|
タックス・パラダイス | 課税なし |
ロー・タックス・ヘイブン | 条約締結国に対して低税率を適用 |
タックス・リゾート | 特定業種に対して減税、または免税(銀行などの金融機関) |
タックス・シェルター | 国外源泉所得に対して減税または免除 |
世界のタックス・ヘイブン(租税回避国)
領土別 | |
---|---|
アメリカ領 | ヴァージン諸島 |
イギリス領 | ヴァージン諸島、アンギラ、ケイマン諸島ジブラルタル、モントセラト、タークス・カイコス諸島 |
イギリス王室領 | ガーンジー島、ジャージー島、マン島 |
オランダ領 | アルバ、アンティル |
ニュージーランド領 | クック諸島、ニウエ |
その他 | アンティグア・バーブーダ、キプロス、サモア、サンマリノ、シンガポール、セーシェル、セントクリストファー・ネイビス、セントビンセントおよびグレナディーン諸島、セントルシア、ドミニカ、トンガ、バーレーン、パナマ、バハマ、バミューダ諸島、バルバドス、ベリーズ、香港、マーシャル諸島、マルタ、モーリシャス、モナコ、モルティブ、リヒテンシュタイン、リベリア |
タックスヘイブンと呼ばれる国・地域は、源泉国でもなく、工業国でもない、産業に乏しい小国や島国が多く、それらの国々は、法人税率や有価証 券に対する税金を大きく引き下げることで、外資企業や金融機関、資金力のあるヘッジファンド・投資家などを呼び込み、経済を活性化させていこうとい う政策のもとに生まれています。
タックスヘイブンの問題点
日本では、国際競争力の強化、少子高齢化などで国内市場が縮小する流れから、タックスヘイブンを利用したいとする法人の需要が高まっているのです。日本では法人税が約40%かかりますから、税金が安い国で会社の利益を計上したほうが効率的という考えが出てくるのは当たり前のことです。
オフショアは、日本のみならず、世界の先進諸国にとって非常に厄介な存在として見られています。大企業、富裕層などの資金が、自国からタックスヘイブンに流出すれば自国の税収は減ってしまいます。そして、タックスヘイブンは、大富豪の所得隠し(マネーロンダリング)の温床場所として、企業の脱税の温床場所として批判されている一面もあります。
そういった会社などの利益は、タックスヘイブン課税により、日本の利益として税金を計算する制度も出て着ています。今後、タックスヘイブンのニーズが高まり、先進諸国がタックスヘイブン対策を進めて行くことが確実で、規制の強化の落とし所がどこまで進むかということにも配慮しておく必要があるでしょう。
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