ラブアン法人を設立した後、法人用の決済口座を開設する必要があります。法人口座がないと商取引の決済ができないために、ラブアン法人を設立する意味がなくなってしまいます。
今回は、ラブアン法人の銀行口座開設にあたり、オンショア口座とオフショア口座ついてお話しします。
ラブアン法人の口座開設をする際、どこの銀行を選択すべきかは検討すべき項目になります。
それ以前に
オンショアとオフショアのどちらを使うのか
両社をどのように使い分けるのか
ということも重要な課題になります。
事業用決済や投資用決済などそれぞれニーズが異なるので、法人設立の段階でアドバイスさせていただきます。
開設サポート可能な銀行
・オンショア口座 (クアラルンプール・ラブアンなど)
→ マレーシア系銀行 RHB Bank
・オフショア口座 (ラブアン)
→ マレーシア系銀行 CIMB Bank
弊社では上記のような法人口座の開設サポートを行っております。
なお、ラブアン法人の口座開設を申し込む段階では就労ビザの有無を問われるケースが増えております。
いくつかの銀行では、就労ビザ取得前の段階でも口座開設が可能な銀行も例外的にありますが、一般的に最低預金額は高めに設定されています。
場合によっては全ての取締役の就労ビザの取得を義務づけている銀行もありますので、どの銀行を利用するか事前に検討しておく必要があります。
ラブアン法人の銀行口座開設は、就労ビザと密接に関係していて、就労ビザの取得要件もまた資本金の金額と密接に関係している為、
資本金額→ワークパーミットの取得→口座開設要件
この流れをある程度逆算しておかないと、後のち資本金の変更などの煩雑な手続きが必要になりますので、十分に検討ください。
法人口座として開設する際に検討することになる、オンショア口座、オフショア口座の一般的な違いについてまとめて説明します。
(具体的な銀行名は割愛させていただきます。)
オンショア口座とオフショア口座
ラブアンで営業拠点を構えるオンショア銀行とオフショア銀行の違いについて。
オンショア銀行(RHB Bank) | オフショア銀行(CIMB Bank) | |
対象顧客 | マレーシア居住者を対象 | マレーシア非居住者を対象 |
取引対象 | 国内取引及び国際取引 | 国内取引及び国際取引 |
通貨種類 | マレーシアリンギット及び外貨 | マレーシアリンギット及び外貨 |
支店窓口 | 有 | 有 |
決済方法 | 対面 又は 電話、FAX、メール 小切手、インターネットバンキング等 |
電話、FAX、メール、小切手 インターネットバンキング等 |
振込手数料 | 国内送金手数料(国内送金) 海外送金手数料(国際送金) |
海外送金手数料 |
最低預金額 | 比較的全体的に低い傾向 | 全体的に高い傾向 |
税制優遇措置 | 適用外 | 適用 |
為替管理規制 | 適用(居住者扱い) | 適用外(非居住者扱い) |
■オンショア口座
オンショアとは、ある国からみて、その国の法制度が及ぶ国、地域のことを指します。(ここではマレーシアを例に。)
オンショア銀行は、現地に居住する人々(マレーシア居住者=ローカル顧客)へのサービスを前提としてサービス提供をしています。
従い、オンショア銀行とは銀行へ預金口座を作りに行くのと同じように、直接銀行の窓口へ出向き、取引を行うことが前提となっています。
実際には、インターネットバンキングを利用するケースが多いでしょう。
【オンショア口座の主な用途】
現地通貨による
「現地従業員の給与支払い」
「事業物件の家賃支払い」
「水道・光熱費などの支払」
主にマレーシア国内で決済を行うオンショア取引に用いられています。
さらに、オンショア口座では現地通貨に加えて外資口座の開設も可能なので、諸外国とのオフショア取引として利用することも可能。
大半の銀行は、インターネットバンキングに対応しているため、迅速な資金移動を行うことが可能。ラブアンオフショア法人でもオンショア口座を活用されている方が大半です。
オンショア口座の注意点
・マレーシア法人向けの口座には、基本的にATMカードの発行が行われておりません。
(例外でクレジットカードを発行している銀行もあり、但し実際には、預金額を上限としたデビットカードとして利用することになる。)
・オンショア口座を利用した場合、ラブアン法人であっても為替管理上の居住者扱いとなるため、多額の早期には制限がかかります。
(送金ごとに50,000RMが目安)
・マレーシアが租税条約を締結している国、地域に居住する個人または法人は、脱税などの調査が入った場合に情報交換協定により、マレーシア当局から取引情報が開示される可能性があります。(日本の場合、日馬租税条約により開示対象。)
オンショア口座はマレーシアの管轄範囲となるため、適用対象になる点をご注意ください。
オフショア口座とは
オフショアとはある国からみて、その国の法制度がおよばない国・地域を指します。
オフショア銀行は、世界中の国々に移住する個人、法人(マレーシア非居住者)向けのサービスを前提としています。
業態としては、インターネットバンクに近く、顧客はインターネットや電話で口座管理を出来ることから、基本的に店舗に訪れる必要はなく、信託会社を通して申込をおこないます。実際、ラブアンのオフショア銀行には窓口が存在しません。
オフショア銀行では、郵送、電話、FAX、インターネットなどの通信手段のみでサービスを利用することができために、海外に居ながら口座を開設することが可能になっていること。さらに口座管理においても現地へ行く必要がありません。
※全ての銀行がインターネットバンクを導入しているのではなく、電話・メールのみ、あるいは小切手の決済のみを取り扱う銀行もあります。
【オフショア口座の主な用途】
外貨建ての国際取引の決済(マレーシア国内を除く)に用いられています。
※ラブアンオフショア銀行では、マレーシアリンギット建ての口座は開設出来ません。
例)日本から商品を輸入→シンガポールなどの諸外国(マレーシアを除く)に輸出する場合
1.輸入元へは日本円(外資)で支払う
2.輸出元からはシンガポールドル(外資)で代金を受け取る
このようなケースが該当。
この例では、マレーシア国内での取引が行われていない事になります。
実際にオフショア口座を開設するケースは少なく、オンショア口座でも外資取引を行えるため、オンショア口座を国際取引の決済として利用されるケースが大半です。
オフショア口座の注意点
・ラブアンのオフショア口座は、マレーシアのオンショア口座に振り込みを行った場合、海外送金(仕向送金)扱いになる。
そのため、オフショア口座を利用した場合に、資金移動のたび海外送金手数料が適用されるという点は注意が必要。(20USD程度~/回)
・海外送金はインターネットバンキングで送金指示をすることが可能な銀行も多くあります。海外送金は国内送金のように電子取引での振込・振替処理とは異なります。
一般的な国内向けのインターネットバンキングでは振込処理完了後、数秒から数分後に送金が完了となりますが、海外送金は銀行員が全て手作業で処理を行うので、資金移動に若干時間がかかる点は注意下さい。
・オフショア口座では、マレーシアリンギット建ての取引が禁止されています。アメリカドル・ユーロ・ポンド・日本円などといった外資口座のみ開設が可能となっています。
マレーシア国内への送金を頻繁に行うという場合、送金手数料が国内振込よりも非常に高額になるということに注意しましょう。
一度オンショア口座に資金移動し、その後、振込振替を行うという方法もあります。
・マネーロンダリング防止のため、オフショア口座ではATMカードの発行を行っていない銀行が大半です。
理由としては、オフショア口座に預金をした後、本国のATMで現金を引き出す行為が続出したためと言われているようです。
ラブアンオフショア口座開設による、ATMカード及び、クレジットカードの発行はほぼ不可能であるとお考えください。
・オフショア口座の開設には、オンショア口座で既に取引を行っている顧客を対象にサービスを提供している銀行が多く、基本的には法人設立登記直後の口座開設は困難となっています。
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